人と人のつながりこそビジネスのインフラであることを信じて
グローバリズムといわれる時代に入って久しくなります。日本の企業運営やビジネスの進め方についても多くの指標について国際示準に叶っていることが求められ、そして何よりもステークホルダー(株主)第一主義であることが当然とされるようになりました。事業における良し悪しの判断はROにはじまりROEやROIなど多くの個別指標が目まぐるしいばかりですし、さらにIRであるとかCSRなど事業の市場優位性や法令遵守、社会貢献のみならず運営プロセスにおいて投資する側の視点からの評価に叶っているかなど、いくつもの要件が求められます。
かつて経営者の個性もふくめて多彩でもあった事業の運営やビジネスが現代では総じて数値化され数的な示準でもって評価される時代になったのだともいえましょう。言うまでもなくこうした変化は事業運営全般における急速なIT化と一体不可分のことでありました。変化そのものはビジネスのグローバリズム的発展の中で必要不可欠な要点であったことに論を待ちませんが、その過程で、すべてのビジネスは人と人との繋がりによって作られ且つ進められてゆくものである、という基本的認識がややフェードしていった面もあったのではないかという印象もあります。
すでに半世紀にもわたる日本とデンマークの食(豚肉やチーズなど)を通じての通商事業においてもグローバリズムの波ははっきりと及んできています。日本、デンマーク両国共に事業運営企業数は年月の経過とともに減少し、一方で企業単体としての扱い高は拡大しています。デンマークでの一次生産から市場(日本)における加工や消費に至るまであらゆる場面でこのような変化が顕著です。より合理的であること、より効率的であることは今後さらに推進されてゆくべきことでありましょう。しかし求められる変化を適宜バランス良く調整し更に安定的に発展させてゆくには、両国それぞれの側で事業に携わる人と人との連携や相互の信頼、協力が必要であることは50年前であっても現在でも変わりませんし、今後将来もまた然りでありましょう。
私たちデンマーク農業理事会日本事務所は、目まぐるしく変化する市場環境の中で、人と人との繋がりこそがビジネスのインフラであることを信じて、これからも両国関係業界の方々と力を合わせていきたいと考えています。
デンマーク農業理事会
駐日代表 小野澤 鐵彦